新年の挨拶すら、ずいぶん久しぶりになってしまった。2026年、あけましておめでとうございます。更新が止まっていた間に季節だけが進む。こちらの怠慢に、暦は一切の同情を寄越さない。
告知の前に近況でも書いておく。ずいぶん前の話だが、Max CooperのLIVEを観て、とても強い感銘を受けた。音と映像がただ同居しているのではなく、同一の論理で駆動しているように見えた。結果、こちらは無謀にも「ああいうAudioVisual LIVEをやってみたい」と思うようになった。思ってしまった以上、撤回しても何も生まれないので、TouchDesignerとVDMXをダウンロードして、一歩一歩勉強している。
触って分かったのは、理解不足が“点”ではなく“面”で広がっているという事実だ。ソフトの理解度も、映像による演出の知識も、そもそもの作法も、どれも足りていない。今のところ、30分のLIVEをやれるだけのクオリティに届く気配は薄い。ひょっとしたらデビューLIVEまで5〜6年かかるかもしれない。悲観というより、工程表を雑に引いた結果の数字である。焦りはノイズなので隔離し、手を動かす量だけを増やす。最大の敵は才能の欠如ではなく、途中で飽きることだと判断する。
さて本題。来週2026/2/8(日)、秋葉原MOGRAでDJ/VJイベント「First Hyper Drop!」がある。時間は15:00から20:00まで。暗くなる前に身体を仕上げて、暗くなる頃には帰れる。クラブの時間感覚としては健康的だが、油断すると「このあと何する問題」だけが残る。最大の懸念はそこだ。
「First Hyper Drop!」は、新人VJがデビュー戦を迎えるためのイベントだ。ただし客側の利得は「新人を見守る」ことだけではない。未知の手つきが手練れの音に衝突して、偶発的に“今日だけの景色”が立ち上がる瞬間を拾える。完成品のショーケースではなく、現場で鍛造される途中の熱を見に行く、という話である。噛み合った瞬間の伸びは、録音やタイムラインではなく、その場の空気でしか成立しない。
MOGRAという箱は、その手の「噛み合い」を誤魔化しにくい。音が強いので、曖昧な盛り上げは通用しない。逆に言えば、噛み合った時の伸びが露骨に分かる。低温のまま「いいですね」と頷く鑑賞態度は、ここでは通貨にならない。必要なのは理解ではなく、巻き込まれである。
この箱は、音圧が客を“気分”ではなく“状態”へ押し込む。上手い下手を脳内で評定しているうちは入口で立ち尽くすだけだ。フロアに踏み込んだ瞬間に、身体の反応速度が上がる。呼吸が変わり、視線の置き場が変わり、足が勝手に拍を探しはじめる。そうなって初めて、音と映像の同期が「概念」ではなく「現象」になる。
映像は装飾ではない。音に寄り添う背景でもない。噛み合った瞬間、映像は視覚の快楽としてではなく、音の輪郭を増幅する“圧”として働く。光が拍を固定し、色がグルーヴを歪ませ、カットの速度が心拍を引き上げる。こちらが求めているのは「綺麗」ではなく「逃げ場がない」だ。綺麗さは、逃げ道にもなる。
だから言う。眺めて済ませる気なら来るな。安全地帯から値踏みして、帰り道で感想だけ生成するのは、最初から家でやればいい。フロアに入って、音と映像の圧を正面から受けろ。受けて、反応しろ。反応がフロアを作り、フロアがさらに出演者を引き上げる。ここは観客席ではなく、現象の発生装置だと割り切れ。
日中帯だろうが関係ない。むしろ日中だからこそ、体力も集中も残っている状態で突っ込める。終電に怯える前に、まず身体を差し出せ。こちらは「分からせる」ために音を鳴らすのではない。「分かる前に、身体が先に答える」状況を作りに行く。来るなら、その前提で来い。
料金は前売¥2,500+1D(¥700)、当日¥3,000+1D(¥700)。前売で入りたいが予約が面倒、という場合は筆者に連絡をくれれば前売り扱いも可能だ(運用上の都合で例外が出る可能性はある、その点は了承して連絡せよ)。
詳細(前売・注意事項など)は主催のnoteにまとまっている。
https://note.com/s_c_s_v/n/n160ed512e5cc
最新情報はXを参照しろ、とのこと。直前の変更や追加は、たいていここに出る。
https://x.com/FirstHyperDrop
行く理由は単純だ。見たことのない組み合わせが、秋葉原の箱で、音量と光量を持って出現する。そういう日が、たまに必要になる。次の更新は、その“出現”の記録になるかもしれないし、ならないかもしれない。そこは現場次第だ。



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