諸君、JR東日本が提供する「どこかにビューーン!」なる奇抜なサービスをご存知であろうか。これは、JRE POINTを6,000ポイント消費することで、JR東日本管轄下の新幹線停車駅47箇所のうち、ランダムに選出された4駅の中から1駅への往復乗車券を獲得できるという、まさに運命の女神に身を委ねるが如き趣向を凝らした企画である。
筆者、長年に亘る鉄道利用の結果、JRE POINTが堆積し、その使途に頭を悩ませていたところ、この「どこかにビューーン!」の存在を知るに至った。その斬新なコンセプトに心を奪われ、一念発起して挑戦を決意した次第である。
そして、運命の女神の気紛れにより、筆者に与えられた目的地は燕三条であった。当地については、刃物の名産地であること、某有名キャンプ用品メーカーの本社が鎮座していることくらいの浅薄な知識しか持ち合わせていなかった。
当初の計画は、宿泊先のみを確保し、他は即興的に周辺を散策し、地元の美食を堪能する程度の、いわば行き当たりばったりの旅程を想定していた。しかし、この甘い考えは、現実の厳しさの前に脆くも崩れ去ることとなった。
駅前に商店街の賑わいを期待していたが、その期待は見事に裏切られた。自動車なくしては、まさに籠の鳥の如く、行動範囲が著しく制限されることが判明したのである。
窮余の策として、レンタカーの調達を余儀なくされたが、半日で1万円もの出費は、筆者の財布に少なからぬ打撃を与えた。しかし、四輪の鉄馬を手に入れた瞬間、筆者の心中には無敵の感が漲った。もはや、行動の自由を得た鳥の如く、どこへでも羽ばたける心境であった。
かくして、日帰り温泉で心身を癒し、道の駅で郷土の味を堪能し、弥彦神社で敬虔な祈りを捧げ、弥彦スカイラインを疾走し、弥彦山パノラマタワーで絶景を眺望するという、まさに完璧な行程が立案されたのである。
順風満帆に一人旅を満喫していたが、パノラマタワーのみは、天候の悪戯により、その扉を閉ざしていた。否、むしろ一時的に車外に出ることすら叶わぬほどの豪雨と濃霧に阻まれ、断念せざるを得なかったのである。
その後は、田園風景が広がる郷道をゆったりと走破し、宿泊先にチェックイン。車両を返却後、駅前の居酒屋で新潟の誇る銘酒の数々を堪能した。
長々と綴ってしまったが、二日目の顛末については、次回の更新にて披瀝することとしよう。