走行会は20分×3本。でも、記憶はその前日から始まっていた。
今年の4月と6月、筑波サーキットの走行会へ参加した。
「20数年ぶりのサーキット」と書くと、昔はそれなりに走っていたように聞こえるかもしれないが、実際はそんなことはない。
20数年前に桶川スポーツランドを二回ほど走ったことがある。それだけだ。
だから筑波サーキットは、自分の感覚ではほとんど初めてみたいなものである。
タイムは書こうと思えば書けるが、それを見た人に「もっと頑張れ」と励まされる未来しか見えない。いや、励ましならまだいい。「バイク降りろ」まである。
そんなレベルである。
走行会そのものは、とても楽しかった。
ただ、初参加らしい失敗もしっかりやらかしている。
コースイン前は、ピットロードに整列してから順番にコースへ入っていく。
走行会は参加台数が多いので、何グループかに分かれてコースインする仕組みだ。
当然、自分は一番後ろのほうへ並ぶつもりだった。
ところが、気が付くと第二集団の先頭に立っていた。
どうやら「最後尾へ行ったつもり」が、「第二集団の先頭」という実に中途半端なポジションを引き当ててしまったらしい。
もう一つ。
走行終了のチェッカーフラッグを見落とした。
そのまま気持ちよく、もう一周してしまった。
ピットへ戻ると、ちゃんと怒られた。
初参加らしいと言えば、実に初参加らしい。
それでも、また走りたいと思えた。
それだけでも十分な収穫だったと思う。
今回の走行会は、二回とも前日に筑波近くのホテルへ泊まっている。
朝が早いので、少しでも余裕を持ちたかった。
最初は、それくらいの理由だった。
ホテルへ着いたのは夕方。
荷物を置いて、「さて、夕飯でも食べるか」と外へ出る。
そこで少し驚いた。
何もない。
もちろんコンビニはあるし、飲食店もある。
ただ、東京で暮らしている感覚の「何かあるだろう」とは、ずいぶん景色が違った。
「どこへ行こう」ではなく、「どこか営業しているだろうか」と考える。
その違いが妙に新鮮だった。
夕飯を食べてホテルへ戻る。
風呂に入る。
缶ビールを一本飲む。
翌日の荷物を確認する。
テレビはつけていた気がするが、何を見ていたのかは覚えていない。
それだけの夜だった。
でも、不思議と悪くなかった。
翌朝はまだ車も少なく、空気も少しひんやりしていた。
サーキットへ近づくにつれて、トランポやバイクを積んだ車が少しずつ増えてくる。
それを見ているだけで、「今日は走る日なんだな」と気分が少しずつ切り替わっていく。
帰ってきてから走行会のことを思い返すと、コースのことだけではなかった。
ホテルへ向かう道も、夕飯を探して歩いた時間も、翌朝の静かな景色も、全部ひっくるめて筑波だったような気がする。
走っていた時間だけを数えれば、一時間にも満たない。
それなのに、思い出す風景は意外とコースの外にもたくさんある。
次に筑波へ行く時も、おそらく前乗りすると思う。
朝早く起きるのが面倒だから……という理由も、もちろんある。
でも今は、それだけではない気がしている。
